【レビュー】CPUを2つ搭載した最強のゲーミングキーボード『ROCCAT Ryos MK Pro』
8ROCCAT初のメカニカルキーボードの最上位モデル『ROCCAT Ryos MK Pro』をレビューしてみます。
ROCCAT初のメカニカルキーボードの最上位モデル『ROCCAT Ryos MK Pro』をレビューしてみます。
海外では、ゲームを『PlayStation』などのゲーム機(俗にいうコンシューマ機)だけでなく同じ作品であってもパソコン版でプレイすることがよくあります。これはコンシューマ機よりもパソコンの方が処理性能が優れており、より高画質、高音質、そしてより早い応答速度を実現できるからです。
日本では知名度はかなり低いですが、海外ではIntelなどの有名な企業がスポンサーになるゲーム大会が開かれています。もちろんゲームを動かす機械はパソコンです。大会に参加するのはプロゲーマーで、1日10時間以上毎日プレイし続けた“選手”です。彼らにとってゲームは遊びではなく“試合”です。マジです、マジ。そのためこれらの競技は“e-Sports”と呼ばれています。
ゲームの世界ではコンマ数秒が命取りになります。そのため多くのプロゲーマーは、“ゲーミングデバイス”と呼ばれるゲームに特化した製品を使っています。ゲームに特化したマウスは“ゲーミングマウス”と呼ばれ、センサの読み取り性能や軽さ、機能、情報転送速度などがこだわられています。
ゲーミングデバイスを開発しているメーカーは意外にも多く、最も有名なのはアメリカの“Razer(レーザー)”で、一般向け製品で有名な“Logicool”もゲーミングデバイスを開発しています。で、僕が一番好きなゲーミングデバイスメーカーが“ROCCAT(ロケット)”…なわけです。
マウスについて詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
そんな大好きなROCCATですが、ROCCATが今まで出してきたキーボードすべてが“メンブレン”という安価なスイッチを採用していました。このスイッチによってキーの押し心地が大きく変わり、多くのゲーミングキーボードや高級なキーボードは、“メカニカル”というちょっとリッチなスイッチを採用しています。
メカニカルスイッチを採用したキーボードは1万円程度しますが、その分押し心地は素晴らしく、タイピングが楽しくなるほどです。
ROCCATの知名度も少しずつ向上してきているので、「いつかメカニカルキーボードを発売するだろう」と思っていたところ、今年の1月に『ROCCAT Ryos』というメカニカルキーボードを発表しました。
『Ryos』は、以下の3つのモデルが用意されています。
下に行くほど上位モデルとなり、『ROCCAT Ryos MK Pro』は最上位モデルとなります。
『Ryos』すべてのモデルにはCPUが搭載されていますが、『Ryos MK Pro』に関しては2つのCPUを搭載しているようです。
残念ながら『Ryos』はまだ発売されていません。しかし、ROCCAT製品の日本正規代理店である“岡谷エレクトロニクス”様の協力により、開発途中の『Ryos』を提供していただきましたので、レビューしたいと思います。
『Ryos』のパッケージは、同社製の他キーボードとほとんど同じです。ちなみにレビュー時点では日本語パッケージができていないため、英語パッケージになっています。パッケージに印刷されているキーボードの配列はUS配列ですが、今回レビューする『Ryos』はJIS配列です。
メカニカルスイッチは複数のメーカーが開発していますが、市販のメカニカルキーボードの9.5割は“Cherry”という会社のものです。
Cherry製メカニカルスイッチはいくつか種類があります。詳しくは以下のリンクを参照してください。
『Ryos MK Pro』には赤軸、茶軸、黒軸の3つが用意されているようですが、今回レビューするものは黒軸となります。
パッケージを開けると、中からキーボードが入った黒い箱がでてきました。これも『Isku』の時と全く同じです。
黒い箱を開けるとキーボード本体が見えました。『Isku』のときは単なるビニール製の袋につつまれているだけでしたが、『Ryos』ではキーの形に合わせたプラスチックカバーがついています。
入っているのはキーボード本体と、説明書などがはいった小さなカードのみです。『Isku』の付属品と全く同じです。
安価なマウスやキーボードはビニル皮膜ケーブルを採用しています。ビニル皮膜はとても固く、激しい操作に支障をきたす可能性があります。そこで多くのゲーミングマウスには、柔らかい布皮膜ケーブルを採用しています。
メカニカルキーボードが無かったのもそうですが、今までのROCCAT製品は、固いビニル皮膜ケーブルを採用してきました。ROCCATのマウスは2012年上旬に発表された『ROCCAT Savu』で初めて布皮膜を採用し、それから発表された製品にはすべて布皮膜が採用されています。
しかしキーボードに関しては、『Isku』も含め、今までビニル皮膜ケーブルしか採用してきませんでした。
『Ryos』では、待望の布皮膜ケーブルを採用しています。
ちなみに写真を見てもらえば分かる通り、『Ryos MK Pro』の機能をすべて使いたい場合は2つのUSBケーブルをパソコンに接続する必要があります。また『Ryos』本体には3.5mmアナログジャックが搭載されています。手元のキーボードに、イヤホンやヘッドホンを挿すだけで音を出力できるので、便利ですね。
『Ryos』は2本のUSBをパソコンに接続する必要があると書きましたが、1つは給電用のケーブルだと思われます。『Ryos』にはUSBポートが2つ搭載されているため、USBメモリはもちろん、USB接続タイプのヘッドホンも接続できます。
布皮膜ケーブル採用は喜ばしいものですが、『Ryos』のケーブルはとてつもなく太いです。また後で『Isku』のケーブルとの比較写真をお見せしますが、簡単に曲げることはできないくらい固いです。
次にパームレストの部分を見てみましょう。
この大きなパームレストは『Isku』にも採用されていたもので、個人的にオススメポイントでもあります。“ROCCAT”のロゴが深堀りされているのは『Isku』同様ですが、『Ryos』はそのロゴの上に“MECHANICAL KEYBOARD”と刻印されています。
キーの周りに関してですが、『Isku』は光沢ツルピッカのプラスチックでした。『Isku』のレビュー記事を見てもらえば分かる通り、この光沢部分はホコリが付着しやすく、長期間使っていると見た目が残念になってしまいます。
対して『Ryos』のキー周りはボツボツしたラバーみたいなものかと思っていました。が、実際に触ってみるとラバーではなく、プラスチックでした。そのため滑り止め効果はありません。
また親指部分のボタンですが、『Isku』と同様、押しにくい固さです。ここは改善して欲しかったのですが、『Ryos』でも改善されませんでした。
次にキー1つ1つを見ていきましょう。
『Isku』のキートップは非光沢ではあったものの、長時間使っていると汗や皮脂でツルツル光ってしまいました。それに対し『Ryos』では皮脂防止コーティングが施されているせいか、ツルツルに光ることはなく、まったく汚れません。また『Isku』で不満だったキートップの面積の小ささですが、『Ryos』では一般的なサイズになっていました。
『Isku』のストロークは浅く、これに不満を持っていた人も多いかと思います。『Ryos』では写真の通り、USB接続端子の金具程度の深さがあります。それに加えメカニカルスイッチを採用しているので、押し心地は文句無しでしょう。
『Isku』ではその場でマクロを登録できるボタンや、現在のプロファイルナンバーを知ることができるLEDが搭載されていました。『Ryos』ではそのような特殊キーはバッサリ省かれ、代わりにファンクションキーのサブ機能として用意されています。
詳しいことは、今年1月に掲載した『Ryos』と『Isku』の違いの記事を御覧ください。
ケーブルのレビューの時点で既に述べてしまいましたが、『Ryos』にはUSB2.0ポートが本体右上に2基、3.5mmアナログ入出力ジャックが左上に搭載されています。
このUSBポートを利用するには1本のUSBケーブルだけでは電力を補えないため、USBケーブルを2本接続する必要があります。
せっかくなので、裏面も見ていきます。
裏面には四隅とパームレスト下部に、滑り止め効果を持つラバーのソールが付けられています。ここは『Isku』と同じですね。
脚も『Isku』とほぼ同じです。脚を立てたときの机との接地面にも、しっかりとラバー加工されている丁寧さに感心します。
また『Isku』にもあった裏面の溝ですが、『Isku』をレビューした当時はケーブルを格納するための溝であると勝手に解釈していました。今回の『Ryos』にも『Isku』とまったく同じ溝があり、しかし『Ryos』のケーブルの太さを考えると、この溝はケーブルを格納するための溝ではなく単なるデザインであると思われます(汗)
それでは『Isku』と実機比較してみましょう。ちなみに僕が購入した『Isku』は輸入購入であるためUS配列です。今回レビューしている『Ryos』はJIS配列なので、キーボードの配列は大きく異なります。
『Isku』で問題だったのは、LEDによる印字点灯を意識しすぎたためにLED消灯時のキー印字が全く見えないというところでした。
しかし『Ryos』ではその問題を完全に解決。LED消灯時でもクッキリ見えます。それもそのはず、下位モデルの『Ryos MK』にはLED機能が搭載されていません。LED点灯を前提としていない設計であるため、LEDを消灯してもはっきりと印字が見えるようになっています。
先述したケーブルの太さを比較してみました。左側が『Ryos』、右側が『Isku』です。圧倒的に『Ryos』のケーブルの方が太いことが分かります。
キーボード本体の厚さはこの通り。
キーストロークも『Ryos』の方が圧倒的に深いのが分かります。
『Isku』では点灯時もキーの印字は見にくいものでした。1つ1つのキーに埋め込まれたLEDの光が拡散せず、印字の中央にしか光が集まらなかったためです。
しかし『Ryos』では改善されています。印字の方式自体変わったのもあり、印字部分すべてに光が届くようになっています。
ちなみに、親指部分のキーも光るようになっています。
今回レビューした『Ryos』はまだ開発途中のものです。したがって執筆時現在、ソフトウェアドライバは用意されていません。そのため詳しい機能の説明はできません!
ざっと、『Isku』の不満点を挙げてみましょう。
このうち、『Ryos』で改善されなかったのは
の2点のみでした。すなわち、『Ryos』は『Isku』の不満点をほとんど解決しているといえます。
ソフトウェアドライバが用意されていないので、残念ながらCPUによる恩恵はあまり感じられませんでしたが、キー1つ1つのLED操作が独立しているのはCPUを2つ搭載しているからこそできるものでしょう。もちろん、LED装飾は単なる装飾に過ぎず、実際のゲームの勝敗に大きな影響を与えません。
記事内では紹介できませんでしたが、『Isku』は『EasyShift[+]』機能を搭載していたものの、ホームポジション的に左手が担当するキーまでしか使用できませんでした。しかし『Ryos』ではすべてのキーが対応しているようで、これはもしかしたらCPU2個によるおかげなのかもしれません。
今回のレビュー記事では、日本で販売されているROCCAT製キーボードの中で最もハイエンドモデルである『Isku』との比較になってしまいましたが、『Isku』と『Ryos』は共通した部分が多かったです。『Isku』の不満点を改善している点、『Isku』と共通した部分が多い点から、『Ryos』は『Isku』と全く別物の製品というよりも『Isku』の正統進化を遂げた姿であると言えるでしょう。
『Isku』の後継製品として『Isku FX』が開発されているようですが、『Ryos』は『Isku』の後継製品と言っても違和感ないでしょう。ただし『Isku FX』はLEDを様々な色に変更できる仕様になっていますが、『Isku』及び『Ryos』は青色一色のみとなっています。『Isku』はあくまで“LEDキーボード”を押した製品、『Ryos』は“高級なゲーミングメカニカルキーボード”を押した製品であるため、『Ryos』のLED機能は『Isku FX』よりも豊富ではないでしょう。ただし『Isku FX』はまだ日本では発売されておらず、僕も使ったことがないので『Ryos』との直接的な比較はできませんでした。
『Ryos』の販売価格は 149ドル ですが、あくまでこれは下位モデルの『Ryos MK』です。日本での販売価格は、事情により皆さんに公開することはできませんが、『Ryos MK Pro』は“高級キーボード”にふさわしい値段となっています。
ROCCATが好きでメカニカルキーボードを楽しみにしていた人にとっては、ぜひオススメできる製品です。日本代理店の岡谷エレクトロニクス様によると、日本での販売は年明け前後になるとのこと。ROCCATファンにとっては、発売が待ち遠しいですね。
そろそろ、大きなリニューアルをされるみたいですね
ジャガアポーさんのサイトは他の人が、あまり取り上げない
ディープな内容が大変面白くて好きです。
リニューアル後はパイナポー君はどうなっちゃうんでしょう (笑)
果たして生き残ることができるのか・・・
ありがとうございます。まだまだ先の話になりそうですが、大きなリニューアルを予定しています…!
パイナポーは…どうなることやら(笑)
新しいキーボードの布巻ケーブル化が決まってウオオオオオ!?ってなったけどKave XTDがビニールケーブル化が決まってあぁ・・・・ってなったのは僕だけでしょうか。やっぱり統一感出すにはケーブルさえも考慮しちゃうんですよね・・・・。
あ、『Kave KTD』って布皮膜ケーブルじゃないんですね。オーディオだと布皮膜ではだめな理由でもあるのでしょうかね…?
PCを9年間使ってますが、ずっと安いメンブレンキーボードを使っていました。
何で、たかがキーボードなのに1万2万もするの!?と昔は思っていましたが、最近無駄にハイエンドなPCにこだわるようになり、色々ネットでレビュー見ているうちにROCCATが好きになりこれを購入しました。
デザインが自分好みで、メーカー独自設計が気に入ってます。
ROCCAT製品で初めて買ったKone XTDは高性能で衝撃を受けました。
(2千円程度のマウスを使っていたので)
Alumicも買ったので、次はキーボードかなと思いまして。
赤軸を使っていますが、想像以上にハイスペックでビビッてますw
次は…Apuri→Kave XTD 5.1chを買いたいなぁと考えてます。デスクトップに統一感が出てきて所有欲も2倍3倍です!!
ジャガアポーさんと同様、すっかりROCCAT信者になりましたw
『ROCCAT Kone XTD』は最高ですよね!プログラマーのような職に就いている人は、3万円近くするキーボードを購入する人が多いですが、マウスにこだわりをもつ人ってあまり見かけないのです。『ROCCAT Kone XTD』なんかは“ゲーミングマウス”としてカテゴライズされているため、仕事用マウスとして使う人は皆無なのが普及しない原因なのかもしれませんねぇ…。
ROCCATのキーボードは、マウスに比べて高価ではありますが、ROCCAT信者なのであれば満足のいくものでしょうね(笑)ROCCAT教へようこそ…!
ROCCATのキーボードが気になってこの記事に来ました!
発売からかなり立ってますが、結構面白いキーボードですね!ますます気になります!
裏面の溝、もしかして本体のUSBポートに刺したマウスなどのコードを管理するものかもですね。
ROCCAT製品は奇抜なものが多いですからね〜、でも実用性は高いという!
裏面の溝…、なるほど!そういうことのために用意された説ですか!