【レビュー】より薄くより軽く、そしてバッテリー持ちが悪くなった『iPad Air 2』

『iPad Air 2』を1ヶ月近く使ってみたので、その使用感をまとめてみます。

『iPad Air 2』のゴールドモデルを買ったよおおお

皆さんご存知の通り、iPadはAppleによるタブレット端末です。iPhoneが今のスマートフォン市場を築き上げたように、iPadは今のタブレット市場を築き上げた端末です。

Appleに関する記事を執筆するとき、毎回記述しているように、僕は日本Apple教の幹部を担当しています。Apple信者です。歴代のiPadすべて（『iPad 2』を除く）を購入してきた僕にとって、iPadは食パンレベルの日常品です。

そんなわけで、当サイトで過去にレビューしてきたiPadは以下の通り。

• 第3世代『新しいiPad』
• 第4世代『iPad with Retinaディスプレイ』
• 初代『iPad mini』
• 『iPad mini 2』と『iPad Air』

今回レビューする『iPad Air 2』は、第6世代目のiPadとなります。第5世代目のiPadより“iPad Air”というブランドになりましたが、9.7インチというサイズはずっと変わらぬままです。今回のレビューは、『iPad mini』や『iPad Air』を所持している人が『iPad Air 2』に乗り換える価値はあるのか、についても記述していきます。

「“iPad Air”ブランドと“iPad mini”ブランドどちらが良いのか？」については、『iPad Air』と『iPad mini 2』の比較記事でも記述している通り、“iPad Air”ブランドをオススメしておきます！

『iPhone 6』同様に、化粧箱はモデルカラー仕様に

今回購入した『iPad Air 2』は、ブラック・シルバー・ゴールドの3色のモデルが用意されており、僕は新色のゴールドモデルを購入しました。今までずっとiPhoneやiPadのシルバーモデルを購入してきましたが、飽きてしまった面もあったので。

『iPad Air 2』のパッケージに印刷されている商品写真は、その薄さを強調するためか、『iPad 2』から受け継がれてきた写真とは異なる構図のものが採用されています。事実、『iPad Air』の薄さは 7.5mm であったのに対し、『iPad Air 2』の薄さは 6.1mm にまで薄型化されています。ここら辺については後述します。

既にお気づきの人もいるように、『iPad Air 2』の化粧箱はモデルカラー仕様になっています。今回僕が購入したのはゴールドモデルなので、Appleのロゴや商品名がゴールド仕様になっています。これは『iPhone 6』から見られたパッケージの変化です。

ちなみに『iPad Air 2』の化粧箱に印刷されているAppleのロゴは、商品名付近に配置されました。『iPhone 6』の化粧箱も同様です。

付属の電源アダプタが 12W → 10W になりました

パカリ。

同社のMacやiPhone、歴代iPadではおなじみの“箱を開けたら商品がすぐ見える”梱包の仕方。今回の『iPad Air 2』でも同様でした。

付属品も今まで通り、非常にシンプル。説明書と電源アダプタが付属しています。

初代iPadから容姿が変わらない電源アダプタですが、今まで 12W タイプの電源アダプタが付属していたのに対し、『iPad Air 2』では 10W の電源アダプタが付属されていました。その変更に伴い、電源アダプタにAppleのロゴが刻まれています。
ちなみに初代から第3世代までは 10W タイプのものが、第4世代から第5世代（『iPad Air』）までは 12W タイプのものが付属していたので、『iPad Air 2』で原点回帰？したことになります。

10W タイプの電源アダプタは、従来の 12W タイプの電源アダプタよりも充電時間がかかってしまい、利用者側のメリットは一切ありません。しかし『iPad Air 2』に内蔵されているバッテリー容量は、従来よりも小さくなっているため、フル充電にかかる時間は大して変わりません。ここら辺についても、後述します。

『iPad』に『Touch ID』は不要？いえいえ、超便利です！

『iPad Air 2』を見て分かる『iPad Air』との大きな違いは、従来のホームボタンにかわる指紋認証『Touch ID』が搭載されたことでしょう。
『Touch ID』は『iPhone 5s』から搭載された技術・ボタンで、指をかざすだけでパスコードロックや『App Store』のパスワード入力を通過できる指紋認証です。歴代iPadの中で、初めて『Touch ID』が採用されたのは今回の『iPad Air 2』なので、iPhoneから1世代遅れて採用されたことになります。

iPadは室外よりも室内で使われることが多いため、「『iPad』に『Touch ID』なんて必要ない」という声をたびたび耳にします。しかし僕にとっては、『App Store』のパスワード入力や、『1Password』のようなパスワード管理アプリにアクセスするためのパスワード入力を、指をかざすだけで通過できるのは大きなメリットであると感じています。

数値以上の薄型化を感じる圧倒的な薄さ

先述の通り、『iPad Air』の薄さは 7.5mm であったのに対し、『iPad Air 2』の薄さは 6.1mm と 1mm 以上もの薄型化が施されています。ここで『iPad Air』と『iPad Air 2』の寸法を以下に載せておきます。

「たった 1.4mm 薄くなっただけじゃん」と思うかもしれませんが、『iPad Air』を日常的に触れている人が『iPad Air 2』に触れると、笑っちゃうほど薄くなったことが実感できるはずです。だてに“世界最薄”を謳っていませんね。

余談ではありますが、最近のスマートフォンはどの企業も薄型化に努める傾向があるようです。おそらく、これ以上目立つような性能の引き上げができず、頭打ち状態であることが原因でしょう。本体が薄くなりすぎたことによってカメラが飛び出てしまっている『iPhone 6』を見れば見るほど、「そこまで薄くする意味はあるのだろうか？」と思います。
ただし、それはあくまでスマートフォンについて思うことであって、個人的に「タブレットはどんどん薄くなれ！」と思っています。一般的なコピー用紙と変わらないほど薄くなったタブレット端末は魅力的じゃありませんかね？

『iPad Air 2』では、軽量化も行われています。前世代の『iPad Air』より 32g ほど軽くなりましたが、体感的には「飛躍的に軽くなった」とは思いません。その最大の要因は、やはり驚くほどの薄さにあると思っています。

『iPhone 6』よりも薄いのに、カメラが飛び出ていない問題

『iPad Air 2』の背面を見ていきましょう。

先述の通り『iPad Air 2』は 6.1mm という薄さですが、カメラが飛び出ている『iPhone 6』は 6.9mm 。『iPhone 6』よりも薄い『iPad Air 2』のカメラは飛び出ていません。『iPhone 6』のカメラは『iPad Air 2』よりも高性能なので、それがカメラの厚さに影響しているのだと思われます。

『iPad Air 2』のスピーカーや『Lightning』ポートは、従来と同じく、本体下部の側面に配置されています。
『iPhone 6』でスピーカーグリルのデザインが変わりましたが、『iPad Air 2』もそれに合わせて変更されています。初代の『iPad mini』や『iPad Air』で少し話題になったステレオスピーカーも健在です。もちろん、音楽観賞用には向きませんが…。

『iPad Air』より、iPadに搭載されるマイクの数は2つになりました。『iPad Air』や『iPad Air 2』ともに、カメラの付近に1つ目のマイクが配置されています。2つ目のマイクは、『iPad Air』の場合、スリープボタンが配置されている本体上部の側面の中央に配置されていましたが、『iPad Air 2』の場合、従来の“ミュートスイッチ（画面固定スイッチ）”の部分に配置されています。

さて、ここでお気づきになった人も多いと思いますが、少し話題になった変更点として、『iPad Air 2』には初代iPadから搭載されてきた“ミュートスイッチ（画面固定スイッチ）”が搭載されていません。本体の薄型化に伴い、スイッチの構造上搭載できなかったものと見られます。

『iOS 8』より、下からニョキッと出てくる“コントロールセンター”にミュート機能と画面ロック機能のボタンが搭載されています。『iPad Air 2』では、それ専用のボタンが搭載されなくなったので、この“コントロールセンター”から操作する必要があります。

このスイッチの廃止がどの程度影響を与えるかについてですが、“ミュートスイッチ”の廃止はあまり痛いものではないと言えます。多くの人がコレを、画面の向きを固定するためのスイッチとして使用していると思いますが、画面の固定設定を頻繁に切り替える人でない限り、スイッチの廃止は問題ないでしょう。
ただし、起床中だけでなく就寝時にも寝転がりながら使う人は、画面の固定切り替えは頻繁に行うことから、ちょっとしたストレスに感じるかもしれません。ま、いずれも慣れが必要になりそうです。

画面はかなり綺麗になったが、購入理由にはならない

『iPad Air 2』は薄くなりましたが、画面はさらに綺麗になりました。

以前の世代のiPadはディスプレイに3層の別々なパーツを使っていたのですが、iPad Air 2がそのすべてを変えました。3層を1つに統合することで各層の間のギャップをなくし、そのギャップによって生じていた内部反射もなくしています。結果は見ての通り。より豊かな色彩とより優れたコントラスト。画像はさらにシャープに、さらに色鮮やかに映し出されます。

iPad Air 2 - デザイン - Apple より抜粋

おそらく『iMac late 2012』で初めて採用された“フルラミネーションディスプレイ”が、今回の『iPad Air 2』にも採用されたのだと思います。“フルラミネーションディスプレイ”による反射抑制は、『iMac late 2012』以降のiMacを触れたことがある人ほど、その凄さや恩恵を感じていることでしょう。

というわけで、『iPad Air』と『iPad Air 2』の反射の違いを比較してみました。

これを見れば分かるように、明らかに光の反射が抑えられています。ただし、今までiPadを使っていて「もうちょっと反射抑えられないかなぁ…」と思ったことは一度もないので「へー、すごいね」で終わる程度の進化です。

LCDの層があなたの目に、そしてあなたの指に近づいたので、スクリーンに触れると、まるでコンテンツそのものに触れているかのように感じられるでしょう。

iPad Air 2 - デザイン - Apple より抜粋

フルラミネーションディスプレイ採用の『iPad Air 2』では、ディスプレイを構成する層が3層から1層へまとめられたため、ディスプレイ上に映るすべてのものが浮き出ているように見えます。が、言われたら「たしかにそうかも」と気づく程度の違いなので、こちらも微妙なところ…。

『iPad Air』と『iPad Air 2』で5K写真を表示し、左右に置いたところを上から撮影したものです。カメラ越しだとイマイチわからないかもしれませんが、こう2つを並べて比較すると『iPad Air 2』の方がコントラストが強く、綺麗に見えます。

“綺麗に表示する”ための改良が施された『iPad Air 2』ですが、前世代である『iPad Air』を使っている人はその違いに気付きにくく、使用する場面において大きな効用を得られないでしょう。画面の綺麗さだけでは買い換える理由にならないかもしれません。

総評：数々の進化よりも、バッテリー改悪のデメリットが一番大きい

僕が『iPad Air 2』を購入したのは10月下旬です。約1ヶ月間『iPad Air 2』を使用してみて、思ったことをまとめてみます。なので、総評というか、本題です。

『iPad Air 2』の良い点

まず、『iPad Air 2』の良い点を列挙してみます。

• 薄くなり、持ち運びやすくなった
• 軽くなり、片手で持ったとき疲れにくくなった
• 『Touch ID』が搭載された
• ゴールドモデルが追加された
• ゴールドモデルの色合いが結構好み

軽量化と薄型化については上述したとおり、素直に喜べる改善点でしょう。ただしあまりにも薄いため、てこの原理が発生するような状況で踏みつけてしまうなど、ちょっとしたアクシデントにおいて壊れやすくなる危険性は大きくなりました。「薄すぎて折れそうで怖い」という人もいるかと思います。
今まで僕がiPadを使ってきて「何とかならないか」と思ってきたことの1つに、“寝転がりながら手を上にあげた状態で、iPadをいじっていると腕が疲れる”ということがあります。初代iPadと比較すると劇的に軽量化されたものの、片手でずっと持ち続けるにはまだまだ重い。たぶんこの悩みは、重量が 100g を切らないと解決しないと思うので、ずっと先の話になりそうです。

『Touch ID』の搭載も、上述したとおり、あったらあったで非常に便利です。『Touch ID』対応のアプリも増えてきていることですし、搭載すること自体がデメリットになることはないでしょう。

今回購入したゴールドモデルですが、『iPhone 5s』の“シャンパンゴールド”とはまた少し違った色合いです。『iPhone 5s』のゴールドよりも『iPad Air 2』のゴールドの方が、若干彩度が高くなっています。『iPhone 5s』のゴールドも、今回のゴールドも、上品な金色が使われているので満足。

『iPad Air 2』のダメな点

それに対して、『iPad Air 2』のダメな点を列挙してみます。

• ミュート・画面固定スイッチの廃止
• バッテリーの持ちの悪さ
• 不安定
• 価格

記事中でも触れたとおり、“ミュートスイッチ（画面固定スイッチ）”の廃止は、僕にとっては大きなデメリットにはなりませんでした。ただし、“使わない”のと“使えない”のでは全く違うので、ダメな点として挙げておきます。画面の向きの固定を頻繁に切り替える人にとってはイライラするかもしれません。買い換えを検討しているのであれば、1日のうちに何回スイッチを切り替えるか数えて、スイッチがなくても本当に困らないか考えるのがベターでしょう。

今回の『iPad Air 2』で最も不満なのが、バッテリーの持ちの悪さです。今までのiPadのバッテリーの持ちが良すぎたのでしょうか。フル充電の状態で、何も操作せず『iPad Air』と『iPad Air 2』をスリープ状態で2日間放置したところ、『iPad Air』のバッテリー残量は 60% 前後だったのに対し、『iPad Air 2』は 40% 前後と、かなり持ちが悪くなっています。
これは『iPad Air 2』に搭載されているバッテリー容量が前世代よりも小さくなったことが原因です。Appleの公称値によると、『iPad Air』も『iPad Air 2』も、バッテリー駆動時間は変わらないとのことですが、どう見ても『iPad Air 2』のバッテリーは持ちません。

そして次に不満なのが、その不安定さでしょうか。64bitCPU、もしくは『iOS 8』が原因だと考えられますが、アプリが勝手に終了してしまうこともあります。

『iPad Air 2』では嬉しいことに、メモリ容量（RAM）が 2GB へ増設されています（従来は 1GB でした）。

iPadでアプリが落ちる（勝手に終了する）のは、iPadのメモリが 1GB しかないことが悪いんだ。『iPad Air 2』なら 2GB のメモリを内蔵しているから、アプリが落ちることはないね！

と考えているそこのアナタ。カンチガイシテマスヨ！！
とにかく『iOS 8』はバグ多すぎです。何とかして下さい！

最後に価格です、価格。
値上がり＆円安の影響でヤヴァイことになってます。一番安いストレージ 16GB モデルの『iPad Air 2』ですら、税込み6万円近くの価格がつけられています。6万円あったら贅沢なもの買えます、ホント。デリシャススティック6000本買えますからね、ホント。

乗り換えた方が良いユーザは？

不満点が多い『iPad Air 2』ですが、乗り換えても後悔しないであろうユーザを挙げるとするならば、以下すべてに当てはまる人ではないでしょうか。

• 第4世代iPad以前、もしくは初代『iPad mini』を使っている
• 『Touch ID』がほしい
• ゴールドモデルがほしい
• 最新の『iOS』でも構わない
• お金に余裕がある

『Touch ID』の必要性を感じず、『Retinaディスプレイ』や薄型・軽量化、9.7インチという画面サイズに魅力を感じる人は初代『iPad Air』を買うのが無難です。もちろん、お金に余裕があれば最新を買うのがベターだと思います。

『iPad Air 2』は Amazon.co.jp で 57,000 円程度から販売されています。『Apple Online Store』の場合、税込み 58,000 円程度で販売されているので、Amazonの方が少しだけお得です。

6万円近くする高級タブレットになっちゃいましたが、信者の皆さんは、もちろん買いましたよね？